
オフサイドとは? わかりやすく図解! サッカーのズルいパスを規制するルールです
サッカー17条あるサッカーのルールのうち、最も有名で絶対に欠かせないのが「オフサイド」です。初心者にとっては難しい言葉ですが、サッカー観戦においては得点や勝敗を左右することもあるくらい醍醐味なルールでもあります。
図解やYoutube映像を交えて、カンタンにわかりやすく解説したいと思いますので、以下ご参考にしてみてください!
目次
オフサイドとは何なのか?
Jリーグの公式サイトにシンプルな図解があります。
https://www.jleague.jp/a-to-z/offside/
本記事ではもう少し加筆して説明したいと思います。
まずはサッカーのフォーメーションを知ろう
まずは基礎中の基礎。サッカーの陣形について、チェックしましょう。
下図は、サッカーの基本的な陣形になります。サッカーは、フィールド上にGKを含めて11人の選手が出場して、互いに試合を競う11人vs11人のゲームとなっています。
※補足
・赤=敵
・青=味方
・GK=ゴールを守る選手
・FW=攻めメインの選手
・MF=攻めたり守ったりの選手
・DF=守りメインの選手
オフサイドは"一部のパス"を規制するルール
サッカーは、ボールをパスやドリブルで回していって、相手ゴールにシュートを撃って、得点を獲得し、勝ちを狙っていくゲームです。その中で、オフサイドは、一部のパスを規制するルールに他なりません。
もう少し噛み砕いて言うと、「どこにでもパスを出してはダメです」、「特定の条件で出されたパスは無効です」というルールになっています。
なぜ、そんなルールが必要なのかというと、もしも「どんなところにでも自由にパスしてOK」というルールにしてしまうと、サッカーが残念なゲームになってしまうからです。
もしオフサイドがなかったらサッカーは残念なゲームになる!
サッカーのルールに詳しくない人は、試合を見ていて、こんなことを考えたことはないでしょうか。どうして相手ゴールの前に選手を集めてすぐにシュートを狙わないのか、と。
中央突破だの、パス回しだの、サイド攻撃だの、面倒くさい。さっさとゴール前に走って、そこにパス出しちゃえばいいじゃん、なんて思う人もいるかもしれません。
しかし、それをOKとしてしまうと、サッカーが以下のような残念なゲームになってしまうのです。
あえて極端な例を挙げましたが、このように、「どこにでもパスしてOK」というルールを認めてしまうと、中盤の選手なんて必要なくなり、ただゴール前の攻防しか楽しめないゲームになってしまい、なかなかヒドイものになってしまうのです。
そして、こういった残念なゲームにならないようにするために、「オフサイド」という、「一部のパスを規制するルール」が設けられているのです。
オフサイドラインとは
オフサイドを知るためには、オフサイドラインを知ることが欠かせません。オフサイドラインは、「後方から2人目の相手競技者」の位置を軸として、コート上に対して垂直に引いたラインのことを意味します。
先ほどの例でいうと、赤チームの最終ラインは下図のようになります。
ただし、オフサイドは色々と細かい注意点があり、「手や腕はオフサイドラインを超えてもオフサイドにならない」という点や、「ゴールキーパーがオーバーラップした時のオフサイドライン位置の変化、またゴールキック・コーナーキック・スローインにはオフサイドにならない」などのルールもあります。(必ずしも、DFの最終ライン=オフサイドラインではない。)
※参考:誰でもわかるOFFSIDE! NOT OFFSIDE!
http://www.j-thinktank.com/ic_league/offside.htm
オフサイドはオフサイドラインを基準にパス成否を判定するもの
オフサイドは、このオフサイドラインを用いて、先ほどのような"ズルいパス"を規制するためのルールとなっています。もし、先ほどのように、相手ゴール前に待機している選手にロングパスを送ろうとすると、オフサイドのルールが発動して、下図のように仕切り直しとなります。
オフサイドトラップとは
オフサイドのルールを利用して、相手を意図的にオフサイドにさせようとする作戦が、オフサイドトラップです。これがどういうものかというと、百聞は一見に如かずです。世界でも話題になった、日本代表のあざやかなオフサイドトラップを見てください。
解説すると、相手選手がフリーキックを蹴る直前の瞬間(パスの直前)、日本代表の選手が一斉に前に走り出して、オフサイドラインを前に移動させています。そして、相手選手がパスを蹴った瞬間、相手のフォワード選手が、日本のオフサイドラインを超えた場所に取り残されてしまい、オフサイド判定となって、仕切り直しにさせているのです。
オフサイドトラップは失敗すると、そのまま相手の得点チャンス(味方にとっては超ピンチ)になってしまうため、非常に危険なもろ刃の剣でもあります。ただ、成功すると、このようなピンチシーンを切り抜けることができます。
ゴールキックとスローインとコーナーキックはオフサイド判定外
オフサイドの判定がされるのは、通常プレイ中のパスと、フリーキックによるパスのみです。
ゴールキック、スローイン、コーナーキックによるパスは、オフサイドのルールが適用されないので、例外として覚えておきましょう。(これらのパスにオフサイドがあると、またまた残念なゲームになってしまうので、ゲームを面白くするため、例外となっています。)
ちょっとややこしいかもしれませんが、オフサイドの説明は以上です。
あとはせっかくなので、ついでに、オフサイドを含めたサッカーの魅力もちょっとだけ紹介したいと思います。
試合観戦におけるオフサイドルールの楽しみ方
オフサイドのルールに対して、サッカー選手たちが考えることは、「どうやってオフサイドラインを攻略して、相手ゴールを奪うか」です。そのための戦略はたくさんあるのですが、本記事では、そのうち代表的なスルーパスとドリブルの2点を紹介したいと思います。
オフサイドの攻略法1「スルーパス」
スルーパスは、サッカーの醍醐味・大きな魅力の一つです。詳しくは下図の通りです。
ちなみに、最近で有名なシーンを取り上げると、ロシアワールドカップの日本代表vsベルギー代表の試合でしょう。後半戦、柴崎選手が原口選手に対して、カウンターからの見事なスルーパスを決めて、強敵のベルギー相手から見事に1点を奪取しました。
(スルーパスのシーンは3:14から)
このように、味方の選手がオフサイドラインを越えない場所にいる中で、その最終ラインにいるDFとキーバーの間にあるスペースにボールを放り込み、味方選手がギリギリ追いつけて、得点チャンスを演出する、素晴らしいパスがスルーパスなのです。
オフサイドの攻略法2「ドリブル突破」
オフサイドのルールによって規制されるのは、パスだけです。つまり、ドリブル突破なら、オフサイドラインも関係なしです。
ただし、ドリブル突破は、中央からは難しく、一般的に多く狙われるのがサイドからの突破です。ちょっと前の日本でいうと、長友選手のドリブルによるサイド攻撃が非常に強力で、有名です。なにしろ世界で通用する、ワールドクラスのサイド攻撃ですので、そのプレーは圧巻です。詳しくは動画でどうぞ。
(サイドからのドリブル突破のシーンは0:52~)
また、最終ラインでドリブル突破をされると、もう止める手段がなく、最後の手段で服を掴んだりスライディングしたりのファウルしかありませんが、これをやってしまうとPKになってしまい、依然としてピンチは続きます。
そのため、脚の速い、ドリブルのうまい選手というのは、オフサイドうんぬんの戦略を根本からブチ壊してくれるので、サッカーにおいて、とても驚異的な存在となるのです。
オフサイドの駆け引きはサッカーの醍醐味!
これまで紹介したように、オフサイドラインを抜けると、DFがおらず、GKと1対1の状況になりやすいので、絶好のチャンスが生まれます。そのため、サッカーでは、いかにオフサイドラインを抜けるシーンを増やすかが重要であり、観戦者にとっての見所ともなります。
また、もちろん、オフサイドだけが見所ではなくて、サッカーはボールを持っていない選手たちも色んなことを考えて動いています。そういった戦略だったり、その中で垣間見える技術など、なんというかもう、見所が盛りだくさんなのです。
そして、実際の試合では、上図の簡易な文章とは比較にならないほどの、とても多くの情報量があり、それらを選手たちはすばやく一瞬のうちに検討・取捨選択・判断して、行動をしているのです。(コーチや監督は事前に方針を伝えていて、その情報をもとに、実際の戦場で細かい点をフィードバックして、勝利に向かって動いています。)
視聴者の自分たちは観るだけですので、あんまり選手のパーソナルな情報を知らなくてもOKですが、フィールドの選手たちは、相手選手の利き脚だったり、脚の速さや駆け出しの瞬発力、ボールキープ力、ジャンプ力、得意プレーや苦手プレーなど、すごく細かい部分まで情報をチェックして闘っており、そういうところまで含んだ目線で見ていくと、よりサッカー観戦が面白くなっていきます。
まあ、あとは、実際に試合を観てみて、色んな所をくまなくチェックしてみてください!
まとめ
本記事で紹介したように、オフサイドは、サッカーを残念なゲームにしないため、ズルいパスに対する規制をかけているルールです。そして、そのオフサイドのおかげで、無数の戦略が生まれて、さまざまなプレー、名シーンが生まれて、世界中の人たちをすっかり虜にしているのです。
今後はオフサイドのことを毛嫌いせずに、サッカーの醍醐味の一つとして、ぜひ楽しんで頂ければと思います!